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色には、物語がある。ウィンザー&ニュートン 水彩絵具歴史・使い方・選び方ガイド

基礎知識 画材・レビュー 初心者入門
#水彩絵具

絵具は、ただの画材ではなく、時代とともに進化してきた「技術」と「思想」の結晶です。
1832年に誕生したウィンザー&ニュートンは、科学と芸術を融合させることで、絵具の可能性を大きく押し広げてきました。本記事では、その歩みを歴史順にたどりながら、ウィンザー&ニュートンの絵具がどのように生まれ、どのように使われてきたのかを紐解いていきます。

ウィンザー&ニュートンとは

ウィンザー&ニュートンは、1832年に科学者のウィリアム・ウィンザーとアーティスト のヘンリー・ニュートンにより創立されました。

アートとサイエンスを融合させた絵具作りにより、アーティストのニーズに応えられる幅広い色の選択肢と耐久性を提供する事を目指したこの事業は、その科学的な厳密さと探究心により、ほんの数年で耐久性と透明度を併せもった絵具を、スタンダードなものとする事に成功しました。

これにより、ウィンザー&ニュートンは世界で最も大きな画材ブランドとなり、世界中のアーティストたちから愛され続けています。

ウィンザー&ニュートン 歴史年表

1832年

ウィンザー&ニュートン設立
科学者ウィリアム・ウィンザーと芸術家ヘンリー・ニュートンが、ロンドンのラスボーン・プレイス38番地でパートナーシップを結成。芸術と科学を融合させた絵具作りが始まる。


1835年

世界初のモイストウォーターカラー発売
グリセリンを用いたモイストタイプの水彩絵具を開発。屋外制作の可能性を大きく広げる。


1837年

ヴィクトリア女王即位/最初のロイヤルワラント
ヴィクトリア女王がシリーズ7の筆を依頼。ウィンザー&ニュートンに最初の王室御用達認定が与えられる。


1840年

ガラス製シリンジ(注射器)を油絵具容器として導入
従来の動物の膀胱(ブラダー)に代わる、衛生的で実用的な容器を採用。


1841年〜1905年

王室御用達としての地位を確立
ヴィクトリア女王より王室御用達令状を授与され、その後も継続的に王室からの信頼を得る。


1842年

スクリューキャップ式金属チューブの特許取得
折りたたみ式金属チューブが標準化され、絵具の携帯性と保存性が飛躍的に向上。


1844年

屋外制作の時代へ
J.M.W.ターナー《雨、蒸気、スピード―グレート・ウェスタン鉄道》が象徴するように、チューブ絵具と交通網の発達が風景画の表現を変える。


1854年

カラーマン、ジョージ・フィールド死去
顔料研究者ジョージ・フィールドの研究成果をウィリアム・ウィンザーが継承。ローズマダー製造などに影響を与える。


1866年

シリーズ7水彩筆 誕生
ヴィクトリア女王の要望により、最高級コリンスキー・セーブル毛の水彩筆「シリーズ7」を製作。


1874年

印象派の誕生
クロード・モネが第一回印象派展で《印象・日の出》を発表。屋外制作と新しい絵具の関係性が芸術史に刻まれる。


1881年

ウィンザー&ニュートン株式会社設立
ヘンリー・ニュートンが事業を法人化。家族経営の伝統は20世紀後半まで受け継がれる。


1892年

『アーティスト向け絵具の色の組成と永続性』初版発行
顔料の安定性と耐久性に関する研究成果を初めて書籍として公開。


1937年

デザイナーズガッシュ発売
高濃度・不透明水彩として、グラフィックデザイナーの定番画材となる。


1937〜1938年

ロンドン・ハローに製造拠点を移転
この移転により、第二次世界大戦中のロンドン大空襲からアーカイブと事業を守ることに成功。


1946年

ローストフトに筆工場を開設
漁網修理の技術を応用し、高品質な筆の製造体制を確立。


1973年

ドローイングインクがD&AD銀賞受賞
マイケル・ピータースによるパッケージデザインが高く評価される。


1976年

世界初のアーティスト用アルキドオイルカラー発売
速乾性油絵具により、制作時間の概念を大きく変える。


1996年

アーティスト・ウォーターカラーに35色の新色追加
新顔料の登場により、表現の幅がさらに拡張される。

各時代の代表的な絵具と使い方

― ウィンザー&ニュートンの歴史とともに ―

① 19世紀前半(1830〜1840年代)

モイストウォーターカラー(水彩絵具)

代表的な絵具

  • モイストウォーターカラー(グリセリンベース水彩)

特徴

  • 乾いても再び水で溶ける
  • 小型で携帯性が高い
  • 透明度が高く、発色が安定

主な使い方

  • 旅先や屋外でのスケッチ
  • 風景の色彩メモ
  • 軽快で即興的な水彩表現

👉 屋外制作(プレナール)を可能にした画期的な絵具


② 19世紀中頃(1840〜1860年代)

金属チューブ入り油絵具

代表的な技術

  • スクリューキャップ式金属チューブ

特徴

  • 絵具の保存性が向上
  • 必要な量だけ取り出せる
  • 長距離の持ち運びが可能

主な使い方

  • 屋外での油彩スケッチ
  • アトリエ制作と屋外制作の併用
  • 色を現場で混色する制作スタイル

👉 風景画・写生のあり方を根本から変えた発明


③ 19世紀後半(1860〜1880年代)

高品質水彩筆と透明水彩

代表的な画材

  • シリーズ7(水彩筆)
  • 透明水彩絵具

特徴

  • 高い保水性と鋭い穂先
  • 繊細な線とコントロール性
  • 重ね塗りによる透明感の表現

主な使い方

  • 細密画
  • 植物画・博物画
  • 建築・地形の記録画

👉 正確さと美しさを両立する水彩表現の確立


④ 19世紀後半〜20世紀初頭

印象派と屋外制作向け絵具

代表的な絵具

  • チューブ入り油絵具
  • 明るく純度の高い顔料

特徴

  • 鮮やかな発色
  • 混色せずに置く色彩表現
  • 速い筆致に対応

主な使い方

  • 光や時間帯の変化を捉える
  • 短時間での色の置き分け
  • 厚塗りやタッチを活かす描写

👉 モネら印象派の制作を支えた近代絵具


⑤ 20世紀前半(1930年代)

デザイナーズガッシュ

代表的な絵具

  • デザイナーズガッシュ(不透明水彩)

特徴

  • 高濃度顔料
  • マットで均一な仕上がり
  • 写真・印刷に強い色面

主な使い方

  • グラフィックデザイン
  • ポスター・イラスト
  • 商業美術・レイアウト制作

👉 「アート」から「デザイン」へ用途が広がる


⑥ 20世紀後半(1970年代)

アルキドオイルカラー(速乾性油絵具)

代表的な絵具

  • アーティスト用アルキドオイルカラー

特徴

  • 速乾性
  • 油彩の質感を保つ
  • 重ね塗りが短期間で可能

主な使い方

  • 制作スピードを重視した油彩
  • 習作・下描き
  • 混合技法(油彩+アルキド)

👉 現代制作スタイルに対応した油絵具


⑦ 現代(1990年代〜)

拡張された水彩・アクリル絵具

代表的な絵具

  • アーティスト・ウォーターカラー(新顔料)
  • プロフェッショナル・アクリリック

特徴

  • 高い耐光性
  • 幅広い色域
  • 多様な支持体への対応

主な使い方

  • 混合技法
  • 現代アート
  • 実験的・表現重視の制作

👉 「素材に縛られない表現」の時代へ

ウィンザー&ニュートンの絵具は、単なる画材ではなく、時代ごとの制作環境や表現の変化に応えるかたちで進化してきました。その歴史を知ることは、現代の制作に新たな視点をもたらしてくれます。

プロフェッショナル・ウォーターカラー

全115色|英国王室御用達の最高級水彩絵具

ウィンザー&ニュートンのプロフェッショナル・ウォーターカラーは、1832年の創立以来受け継がれてきた「色への探究心」と「科学的厳密さ」を体現する、最高級グレードの水彩絵具です。
現在も英国王室御用達として認められ、世界中のプロフェッショナルアーティストに信頼されています。

特徴① 純度・品質・信頼性のすべてが最高水準

使用されているのは、厳選された最高級顔料のみ。
不純物を極限まで排除することで、にごりのない発色と安定した品質を実現しています。


特徴② 非常に鮮やかな発色と優れた耐久性

顔料の純度が高いため、

  • 少量でもしっかり色が出る
  • 混色しても色が濁りにくい
  • 長期にわたり色あせしにくい

といった、プロ制作に欠かせない性能を備えています。


特徴③ 独自の顔料分散技術による高い透明度

製造工程では、ウィンザー&ニュートン独自の顔料分散技術を採用。
これにより、光を通す美しい透明感と、重ね塗りに適したクリアな色層が生まれます。

👉 水彩ならではの

  • グラデーション
  • にじみ
  • 色の重なり

を最大限に活かすことができます。


特徴④ 全115色の豊富なカラーバリエーション

全115色のラインナップのうち、**ほとんどの色が「専門家用堅牢色」**としてランク付けされています。

これは、
✔ 高い耐光性
✔ 長期保存に耐える安定性

を意味し、作品として残す前提の制作にも安心して使用できます。


初心者へのおすすめポイント

「プロ用=難しい」と思われがちですが、
実は発色が良く、混色しやすいプロ用水彩は初心者にも扱いやすい絵具です。

  • 色が濁りにくい
  • 少ない色数でも表現の幅が広い
  • 上達しても買い替える必要がない

という点で、長く使える水彩絵具といえます。


こんな人におすすめ

  • 水彩画を本格的に学びたい方
  • 作品として残す絵を描きたい方
  • 色の透明感・深みを重視する方

プロフェッショナル・ウォーターカラーは、単なる画材ではなく、色そのものを信頼できる「制作のパートナー」と言えます!

絵具の物語

― 色は、こうして信頼されるようになった ―

絵具1色1色にはそれぞれ物語が隠れています 。そんな絵具たちの物語をご紹介します 。公式サイトにて全色のエピソードもご覧いただけます。

おすすめセット商品

アーティストの作品制作はもちろん、クラフト作品、ポスターアートやイラストにも幅広く対応。色彩のクオリティを求める方におすすめです。

■セット配色内容:ニューガンボージ(267)・スカーレットレーキ(603)・アリザリンクリムソン(004)・ウィンザーバイオレットディオキサジン(733)・ウィンザーブルーグリーンシェード(707)・ウィンザーブルーレッドシェード(709)・ウィンザーグリーンイエローシェード(721)・パーマネントサップグリーン(503)・イエローオーカー(744)・バーントシェンナ(074)・ランプブラック(337)・チタニウムホワイト(644)

■セット配色内容:ニューガンボージ(267)・スカーレットレーキ(603)・アリザリンクリムソン(004)・ウィンザーバイオレットディオキサジン(733)・ウィンザーブルーグリーンシェード(707)・ウィンザーブルーレッドシェード(709)・ウィンザーグリーンイエローシェード(721)・パーマネントサップグリーン(503)・イエローオーカー(744)・バーントシェンナ(074)・ランプブラック(337)・チタニウムホワイト(644)

ウォーターカラーの使い方

水彩絵具で濃淡を作ってみましょう

ウィンザー&ニュートンのプロフェッショナルウォーターカラー パーマネントローズを6段階で重ね塗り。
同じ濃度の絵具と重ねることで濃淡を作ってみます。

コットマン・ウォーターカラー

全48色|手頃な価格で使える高品質水์水彩絵具

コットマン・ウォーターカラーは、ウィンザー&ニュートンが長年培ってきた色づくりの技術をもとに、品質と価格のバランスを重視して開発された水彩絵具です。
アマチュアから、大量の絵具を必要とするプロのアーティストまで、幅広い層に支持されています。

特徴① 厳選された色設計

コットマンの色は、

  • チューブから出したときの色
  • 水で薄く引き伸ばしたときの色
  • 顔料の強度と着色力
  • 透明度

これらすべてを考慮し、実際の使用シーンを想定して選び抜かれています

👉 初心者でも「思った通りの色」になりやすいのが特長です。


特徴② 非常に高い堅牢度

全48色が、
専門家用堅牢度 AA または A
にランク付けされています。

これは、

  • 退色しにくい
  • 長期保存に耐える

という意味で、練習用にとどまらず、作品制作にも安心して使える水彩絵具であることを示しています。


特徴③ プロフェッショナル・ウォーターカラーと混色可能

コットマン・ウォーターカラーは、
プロフェッショナル・ウォーターカラーと自由に混ぜて使用できます

  • 基本色はコットマン
  • 主役色・仕上げ色はプロフェッショナル

といった使い分けも可能で、コストを抑えつつ表現の幅を広げることができます。


特徴④ 選べるサイズ展開

  • 8mlチューブ:混色や作品制作に
  • ハーフパン:持ち運びや屋外スケッチに

制作スタイルに合わせて選べるのも魅力です。


こんな人におすすめ

  • これから水彩を始めたい方
  • 毎日たくさん描きたい方
  • 学校・ワークショップ用
  • プロ品質を手頃に使いたい方

おすすめセット商品

携帯に便利なコンパクトケースに、12色のハーフパンと水筆がセットになったオールインワン仕様。
外出先や旅行先のスケッチ、カフェでのアート制作などにも最適です。

■セット内容;CWC ハーフパン 12色・水筆 ×1本(リザーバータイプ)・専用プラスチックケース・混色スペース付き(フタ裏部)

こちらの「フィールドセット」は、14色のハーフパン・水筆・ミニボトルがコンパクトに収まったオールインワン仕様。
どこへでも持ち運べる軽量ボディで、屋外スケッチや旅行、カフェでのアート制作にも最適。
高品質な発色と透明感が魅力で、初心者から中級者まで幅広く愛用されています。
■セット内容:CWC ハーフパン14 色・コットマンブラシ・パレット× 1 枚内蔵

絵具の歴史をたどり、ひとつひとつの色に目を向けてみると、
画材は単なる消耗品ではなく、表現の時間そのものを支えてきた存在であることがわかります。

ウィンザー&ニュートンのプロフェッショナル・ウォーターカラーも、コットマン・ウォーターカラーも、
描く人の経験や制作スタイルに寄り添いながら、長い時間をかけて磨かれてきました。

これから水彩を始める方にも、日々の制作に信頼できる画材を求める方にも、
それぞれの段階に合った「ちょうどいい一色」が、きっと見つかるはずです。

本記事でご紹介した水彩絵具や関連画材は、当サイトのオンラインストアでもお取り扱いしています。
色選びに迷ったときや、制作環境を整えたいときに、
ぜひ参考にしていただければ幸いです。

色と向き合う時間が、少しでも心地よいものになりますように✨

オンラインストア展開商品

記事編集

MORI

特集記事の企画・執筆とSNS発信を担当。アートと読者をつなぐ架け橋となることを心がけています。趣味は4歳の娘とのサイクリング。休日は風を感じながら親子でのんびり自転車を楽しんでいます♪

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