ステンシルとは?アート・服飾・DIYに模様をデザインする手順を解説

デザインや画法に「ステンシル」というものがあることを耳にしたものの、「ステンシルとはどんな技術?」「ステンシルを使ったデザインの仕方は?」などの疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、ステンシルの概要やデザインの手順、オリジナルのステンシルシートの作り方、作品例を解説します。子どもから大人まで、誰でも挑戦できるアートなので、是非この記事を参考に挑戦してみてください。
ステンシルとは?
ステンシルとは、型紙を使って模様を写し取る技法です。必要な道具が少なく、デザインの経験がない方でも気軽に挑戦できます。ここからは、ステンシルの基礎知識や魅力を詳しく解説します。
ステンシルは「文字や模様を複写する技術」
ステンシルとは、文字や模様がくり抜かれた「ステンシルシート」と呼ばれる型紙に絵の具やインクを乗せて、模様を写す技法です。型紙の抜けた部分にだけ色が乗るため、文字や模様の輪郭がブレにくく、仕上がりが安定します。

ステンシルの特徴は、文字や模様の再現性が高いことです。素材や塗料によって耐久性は異なりますが、1枚のステンシルシートを数十〜数百回、繰り返し使えます。そのため、看板やパッケージなどで、同じデザインを量産する際にも活用されています。
また、アクリル絵の具やスプレー塗料、水性インクなど、塗料の種類のほか、専用ブラシやスポンジなど塗り込む道具を変えることで、デザインの質感を変えられる点も魅力です。ただし、細い線や複雑なグラデーションは難易度が高いため、最初はシンプルな模様から始めるのがおすすめです。
きれいに仕上げるコツは、ステンシルシートをしっかり固定し、少量の塗料を軽く叩き込むことです。こうすることで、にじみや漏れを防ぎ、安定した仕上がりになります。
オリジナルの文字やイラストを自由にデザインできる
ステンシルの魅力は、自分で自由にステンシルシートを作ることで、オリジナルのデザインができることです。市販のステンシルシートでも、色の組み合わせや塗り方、配置などを工夫することで、オリジナル作品を作れます。

型紙を作るときは、主に2つの方法があります。(より詳しい自作ステンシルシートの作り方は、後述の「▼オリジナルのステンシルシートを作る手順」をご覧ください。)
- ネガ(抜き):最も一般的な方法で、図柄の内側をくり抜き、抜けた部分にだけ色が乗ります。AやOなどでは、中抜き部分が型から落ちないように「ブリッジ」と呼ばれる細い接続線でつなぐのが基本です。
- ポジ(囲み):図柄の形そのものを残すように型紙を作り、塗料をのせた部分が模様として浮かび上がる方法です。柔らかく、やさしい印象のデザインに向いています。
仕上げたい雰囲気に合わせて、塗料や塗り方を変えることで、質感を調整できるのも面白い点です。例えば、輪郭をくっきり見せたり、あえてかすれを出したり、色を重ねてグラデーションを作ったりすることで、同じステンシルシートを使っても印象を大きく変えることができます。
【目的別】ステンシルで複写しやすい素材
ステンシルは、紙や布、木材、金属など、さまざまな素材に複写できます。ただし、表面の凹凸や柔らかさによって複写のしやすさが異なるため、最初は塗料が乗りやすい素材を選ぶのがおすすめです。ここからは、目的別にステンシルで転写しやすい素材を3種類紹介します。
アート:紙に複写してデザインする
アート作品にステンシルを活用する場合は、表面が平らで塗料が乗りやすい紙がおすすめです。細かい部分まで転写しやすく、均一な仕上がりを目指せます。
イラストやロゴ、文字を正確に表現できるため、下絵作りやレイアウトの確認にも便利です。また、同じデザインを何枚も複写して量産したり、色や塗り方を変えて複数パターンの作品を作ったりすることも可能です。

DIY:木材の家具に複写してデザインする
DIYにステンシルを活用する場合は、木材でできた家具のパーツに複写する方法があります。木材は基本的に塗料が乗りやすいので、初心者でも比較的挑戦しやすい素材です。
ただし、木材は木目や凹凸の影響で塗料がにじむ可能性があるため、表面をやすりで整えたり、塗料を叩き込むように薄く塗ったりするのがコツです。

洋裁:衣服や服飾品に複写してデザインする
衣類や服飾品は、ステンシル初心者でも挑戦しやすい素材です。無地のTシャツやバッグにデザインを加えると、自分だけのオリジナル作品を作れます。また、布地にパターンを転写して、縫製や刺繍のガイドとして使うことも可能です。

オリジナルのステンシルシートを作る手順
ステンシルをより自由に楽しむなら、オリジナルのステンシルシート作成に挑戦してみましょう。まずは以下の道具をそろえることから始めてください。

- 下絵
- 厚紙(またはクリアファイル)
- のり(またはマスキングテープ)
- カッター
- カッターマット
- 定規(直線に切る場合)
上記に加え、ステンシルで転写する際に便利な「スポンジ」や「筆」も準備しておくのがおすすめです。
・ステンシルブラシ
毛先が平らで、画材を満遍なく塗りやすいブラシです。


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・スポンジ(水彩画の画材)
ポンポンと叩いて、画材を塗り広げることができます。


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イエロースポンジ
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ステンシルブラシS 2本入(スポンジ)
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ここからは、オリジナルのステンシルシートの作成方法を手順に沿って紹介します。
①下絵を用意する
ステンシルシート作りの第一歩は、文字やイラストの図案を作ることです。

サイズや線幅は細すぎないよう調節し、「ネガ(図柄の内側をくり抜く方法)」と「ポジ(図柄の形を残す方法)」のどちらで作るかも決めておきます。
次に、作った図案をステンシル用の台紙の上に置き、のりやマスキングテープ(100円均一ショップなどで売られている糊スプレーでも可)で固定します。浮いたりずれたりしないように、ぴったりと密着させることが大切です。台紙は、切りやすさを重視する場合は厚紙、耐久性や再利用性を重視する場合はクリアファイルがおすすめです。

②下絵に沿って切り抜く
固定した下絵に沿って、デザインナイフやカッターナイフを使い、台紙を切り抜きます。作業台やナイフを傷つけないよう、カッターマットの使用を推奨します。

カットを行う際は、一度に長く切ろうとせず、切り抜きたい形に合わせて、以下のように作業の仕方を工夫することが大切です。
- 曲線:素材を回しながら切る
- 角:交点で一度止めて少しずつ切り進める
- 直線:定規を使用する

さらに、刃は切れ味が落ちる前にこまめに交換すると、切り口がきれいになり、型紙の精度が高まります。ステンシルシートを切っている作業風景を以下の動画にまとめましたので、参考にしてください。
③切り残しの確認や細かい部分の調整を行う
台紙を切り抜いたら、下絵を外す前に切り残しがないか確認します。必要に応じて、デザインナイフで微調整を行い、ゆがみや切り残しを修正します。
さらに、試し刷りをしてにじみや欠けがないか確認すると安心です。細すぎる線はテープや粘着剤を使って補強したり、開口部のサイズを調整したりして、塗料が思いどおりに乗るように整えます。

【実例を参考に紹介】ステンシルの進め方・必要な道具
ステンシルに慣れていない方は、まず自分の好みの作品や参考にしたい作品を見ながら真似してみるのがおすすめです。ここからは、実際の作品を例に、必要な道具や手順、作業のコツなどを解説します。
【子ども向け】手形・足形アート
手形や足形を使ったアートは、子どもの成長を記念する素敵な作品になります。

背景にもステンシルを使って模様を描き、その上に子どもの手形や足型を押してデザインしていくのがおすすめです。

手形を押すときは速乾性の塗料を使い、子どもが動いてしまう前に素早く仕上げるのがコツです。塗料が多いと滲んだり垂れたりすることもありますが、その過程も含めて1つの作品とするのが良いでしょう。
また、子どもに作業をさせる際は、手足をすぐに洗える環境を整え、安全に進めるようにしてください。

上記の作品の文字は細かいので、「シルクスクリーン」を使用して作成しています。シルクスクリーンを使用することで、細かい文字や模様も簡単に切り抜きできるので、おすすめです。

オリジナルシルクスクリーン
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【大人向け】ラッピングやカードをデザイン
ラッピングペーパーやカードにステンシルでデザインを加えると、手作りの温かみを感じられる作品になります。

花柄や星型、ハートなどのステンシルシートを使うことで、かわいくデザインできます。

細かい模様を描くときはスポンジブラシで軽く叩くように塗ると、きれいに仕上がるのでおすすめです。

また、カードの場合は、余白を意識してデザインを配置するとバランスが良くなります。シンプルなデザインにゴールドやシルバーを加えると、上品な雰囲気を出すこともできます。

【大人向け】ギフトタグや封筒をデザイン
ギフトタグや封筒をステンシルでデザインすると、贈り物に特別感を持たせることがきます。


小さな面積にデザインする場合は、細かい筆や小型のスポンジを使うのがコツです。いちごのタネなど、細かいディティールは直接筆で描き込むのがおすすめです。


ステンシルに加え、メッセージや簡単なイラストを描き足すのも、オリジナル感が出ておすすめです。
【大人向け】木のペンスタンドをかわいくデザイン
木材は扱いに少しコツが必要ですが、面が広く平らに加工されたものであれば、比較的簡単にステンシルできます。きれいに転写するためには、丁寧な下地処理が大切です。まずは、木の表面をやすりで軽くこすり、油分やほこりを取り除いた後、下地剤を塗ると塗料がきれいに乗りやすくなります。

下準備ができたら、塗料を乗せる工程です。ステンシルシートは低粘着のりやテープでしっかり固定し、チョークペイントや水性アクリル塗料を少量ずつ重ねて塗るとムラなく仕上がります。取手周りや角の部分は、専用の小さな型紙を使うと良いでしょう。

仕上げには、マットタイプのクリアトップコートがおすすめです。完全に乾いた後に塗ることで、表面のすり傷や色落ちを防ぎます。鳥の目やお花の丸は、筆の持ち手側に絵の具を付けて、トントンと塗料を付着させることで表現しています。

以下は、ステンシルシートで家を表現した後に、星のシールを使って窓をデザインしてみました。

【大人向け】Tシャツにデザインを追加
ステンシルに慣れてきたら、シルクスクリーンでオリジナルTシャツをデザインしてみるのもおすすめです。

シルクスクリーンは、メッシュと呼ばれる細かい網目状の布を使った印刷技法のひとつで、絵柄の部分だけインクを通すように加工されています。つまり、メッシュの穴を通ったインクだけが生地に転写される仕組みです。
インクが裏に染みないようにTシャツの内側に厚紙を敷くのがコツです。次に、マスキングテープや低粘着のりでシルクスクリーンを固定します。

使う塗料は、布用インクやアクリル絵の具です。メッシュに塗料を乗せたら、スキージーと呼ばれるゴムベラを使って均一に伸ばして転写します。

完全に乾いた後にアイロンで熱を加えてインクを定着させると、洗濯しても落ちにくくなります。

アクリル絵の具に「メディウム(絵の具の質感を変化させる画材)」を混ぜることでペースト状にでき、塗りやすくなるので、おすすめです。

シルクスクリーンがきれいにできるメディウム チューブ
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メディウムを使用したことがない方は、最初からメディウムが絵の具に混ざっている商品もおすすめです。

シルクペイント 50g
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また、布に刷り込みながら絵の具を塗りたい場合は、以下のメディウムを使うと上手くいきます。

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【レベルアップ】モデリングペーストで立体的な模様を作成
モデリングペーストを使い塗料を盛る形で仕上げると、立体感を演出できます。

モデリングペーストを均一に伸ばすためにはナイフを使う必要があります。

モデリングペーストが乾く前に塗料を塗り込む必要があるため、最初は模様が崩れてしまうことも多くなります。モデリングペーストは半乾きの状態で慎重に剥がすと、きれいに仕上がります。
乾燥後に塗料で色を重ねると、奥行きが生まれてさらに魅力が出るので、慣れてきたら挑戦してみてください。

ステンシルで自由にデザインしよう
ステンシルは、初心者でも簡単に図案を転写してデザインを楽しめる方法です。まずは、市販の型紙を使い、既製品にデザインを加えるところから始めると、失敗を気にせず挑戦できます。その際は、素材や用途に合った塗料を選び、塗り方を工夫することが大切です。
慣れてきたらオリジナルのステンシルシートを作ってみるのも良いでしょう。最初は簡単な図案から挑戦し、少しずつ応用を加えながら、自分だけのデザインの幅を広げてみてください。




